9月議会で質問しましたのでご報告いたします。
(1)インクルーシブ教育に対する本市の見解について
Q1.2016年に障がい者権利委員会から発出された「インクルーシブ教育を受ける権利に関する一般的意見4号」において、「インクルーシブ教育が基本的人権である」と定義されましたが、本市の見解は?
A1.インクルーシブ教育が基本的な人権であることを踏まえ、引き続き誰一人取り残すことのない教育の推進に努める。
Q2.本市のインクルーシブ教育は日本型インクルーシブ教育(特別支援教育)を推進しているが、海老名市等フルインクルーシブ教育に向けて取り組みを始めている自治体がある。本市もフルインクルーシブ教育を目指していくべきでは?
A2.フルインクルーシブ教育について、先駆的に取り組んでいる他都市の動向にも注視しながら、引き続き児童生徒の個々の状況に応じて丁寧かつ着実な対応に努める。
(2)今年度の取組について
教育行政方針において、「医療的ケア児及びその家族への対応について、受け入れ体制の整備に努める」とある。
Q1.本市の受け入れ体制の整備状況と、ガイドライン等策定への考えは?
A1.道内で先駆的に医療的ケアの受け入れ態勢の整備が図られている自治体への視察や、市内の医療機関への今後の協力や支援要請等を行うなど、ガイドラインの策定を含め、将来的な受け入れ態勢の整備について検討を進めている。
Q2.受け入れ体制整備の際には、スクール児童館における受け入れ体制の整備も含めて考えるべきでは。
A2.学校が受け入れとなった際については、スクール児童館を所管する保健福祉部と受け入れ体制整備の可否を含め緊密に情報を共有し、連携を図る。
(3)特別支援教育対象児童生徒等への支援の状況、体制について
全国の義務教育段階の児童生徒についてH25年度とR5年度を比較すると
全児童生徒数~0.9倍
特別支援教育を受ける児童生徒数~2.0倍
そのうち、特別支援学校~1.3倍、特別支援学級~2.1倍、通級~2.3倍
と増加している。
本市の状況について、H27年度と令和7年度の比較は
特別支援学校~1.1倍(37人→40人)
特別支援学級~1.7倍(188人→318人)
そのうち、自閉症・情緒学級~1.5倍(128人→194人)、知的学級~2.1倍(53人→113人)、通級1.8倍(83人→149人)
<特別支援教育支援員について>
Q1.本市も全国平均同様特別支援教育を受けている移動性とは増加しているが、一方で特別支援教育支援員の人数はH27年度44名に対し、R7年度は43名と1名減。その理由は?
A1.特別支援教育を受けている児童生徒が増加している一方で、学校統廃合により23校→15校へと減少しており、1校あたりの特別支援教育支援員の配置人数はH27年度と比較して多くなっている。
Q2.通常学級に在籍し、通級指導は受けてはいないが、特別な教育的支援が必要だと校内支援委員会で判断される割合についての状況は?
A2.H27年度とR7年度の比較で、小学生は1.95%→3.71%、中学生は1.34%→0.77%。
Q3.特別支援教育を必要としている児童数は10年前と比較して大幅に増加。さらに特別な支援を必要とする児童も増加。その上で、現在の特別支援教育支援員の人数は、必要とされる支援の量に対し充足していると考えているのか?
A3.担任だけではなく校長や教頭など管理職などの教員によるカバーが必要となるケースもあるため、常に支援員が充足しているとはいえない状況と認識。
Q4.特別支援教育を必要とする児童生徒数が増加していないのであれば、学校統廃合により支援が手厚くなっていると言えるが、現実は支援量が増加している。「充足しているとはいえない状況」ならば、支援員を増やす取り組みをするのが「合理的配慮」ではないのか?
A4.支援員の負担は増加していると認識している。校内における特別支援教育支援員の効果的な活用方法や他の教職員との協力体制の整備など、学校全体で、より一層の効果的な運用について検討する。
Q5.現在でも管理職も対応している。その上で何を検討するのか?現状に合わせて増員を含めた検討をすべきでは?
A5.まずは、より一層の効果的な運用について検討して、それでも不足する場合は増員も検討する。
<八丁平小学校とことばの教室について>
Q1.ことばの教室への通級人数は149名で、全児童数に対して5.54%。八丁平小学校については、他校通級のみ。指導を受ける児童数の割合と他校との比較は?
A1.通級指導を受けている人数は17人で、全児童数に対して2.92%。最も高い小学校では10.15%であり、八丁平小学校の通級している児童の割合は、他の小学校と比較して低い状況。
Q2.過去の議会論議では「自校通級は空き教室ができ次第」とのことだが、空き教室はいつ頃できるのか?
A2.空き教室が生じる目処はついていない。
Q3.他校と比較して通級割合に大きな差があることから、不利益が生じないように対応をとるべき。他自治体にといては、放課後等に特別支援学級で指導しているケース、保護者送迎や付き添いの原則をゆるめファミリーサポート等の送迎の利用を認めるケースもある。できることをするべきでは?
A3.放課後における業務負担や保護者以外の送迎における安全性や送迎手段が確保できるか等を把握した上で、学校、保護者とも十分に協議するなど慎重な検討が必要。
<中学校での通級指導について>
Q1.アンケートと調査が行われているが、その結果は?
A1.令和6年2月に実施。対象者はことばの教室に通級している小学校5~6年生。回答件数は26件。
「もし、中学校にことばの教室ができたら利用したいか」の問いに対して、42.3%が利用したいと回答し、利用したくないとの回答11.5%を上回る結果。
一方で、ことばの教室を利用する理由として、発音やコミュニケーションなど、ことばに関する課題を改善・克服する目的以外で、個別の勉強を見てほしい等の理由を挙げる割合が高く、こともたちの学習支援が可能な居場所としての認識を多くの方が持たれていると分析している。
Q2.学校現場からの要望の状況は?
A2.校長会を通じて開設の要望を受けている。
Q3.通級による指導の対象となる児童生徒について、「児童生徒が通学する小中学校に通級による指導の場を設けることが容易でない場合に、安易に特別支援を開設することは適切ではない」とされている。本市中学校にといて、通級指導の対象となる生徒への現在の対応は?
A3.中学校にといても生徒の障がい等の状況に応じて通級指導教室での指導が望ましいケースもあると考えているが、現在は通常学級や特別支援学級において必要な指導を行っている。
Q4.以上の答弁からも、現場でのニーズが高いことは明らか。「日本型インクルーシブ教育」の特徴は、「連続性のある多様な学び場」ですが、本来通級指導を受けるべき生徒は、通常学級か特別支援学級で支援をうけている現状は適切ではないと考える。中学校における通級について、具体的な検討を進めるべきでは?
A4.教員の人材や教室の確保等の課題もあるが、道内でも拠点校方式で開設している自治体もあることから、校長会とも緊密に連携しながら、道内他都市におけるニーズ把握や人員確保の方策などについて情報収集する。
<連携について>
「障害のある子供の教育支援の手引」では、早期からの一環した教育支援の重要性があげられ、「就学支援中心の「点」としての教育支援だけではなく、早期からの教育相談・支援、就学相談・支援、学校や学びの場の変更を含む就学後の継続的な教育支援に至る一連の「線」としての教育支援へ、そして、過程や関係機関と連携した「面」としての教育支援を目指すべき」とある。
Q1.連携の要(かなめ)として学校には「特別支援教育コーディネーター」がいるが、専任や担任教務とけんむしないこと、また複数担当制等専ら特別支援教育コーディネーター業務に従事できるような体制となっているのか。
A1.担任を持ちながら特別支援教育コーディネーターの業務に従事できる体制がとられており、担任業務と特別支援教育コーディネーターを兼務している教員は16人で兼務率61.5%、担任業務を受け持たず特別支援教育コーディネーターを兼務している教員は10人で兼務率は38.5%。
Q2.長期的な視点で幼児期から学校卒業後までを通じて一貫した支援を行うことを目的として作成される「個別の教育支援計画」の引き継ぎの大切も指摘されている。
中学校から高校への「個別の教育支援計画」の引継ぎ等、状況や課題は?
A2.入学選抜の「調査書」や「特別な配慮に関する依頼文書」などによるほか、高校入学前の引継ぎにおいて、中学教員と高校教育における配慮事項等の引継ぎを行っている。課題は、引継ぎ内容や時期について統一されておらず、学校ごとにばらつきが見られること。
Q3.放課後等デイサービスとの連携については、国からも連携を推進するように文書が発出されている。その中で「小・中学校から放課後等デイサービス事業所への送迎時にといて、放課後などデイサービスについての教職員の理解が深まっていないために、対象児童生徒の学校における様子などの情報提供をはじめとする学校の協力が得られにくいことがある」と指摘されているが、本市でも同様な状況があると聞いている。本市における学校と事業所の情報共有や連携の状況についての認識と課題は?
A3.双方の活動時間帯が違うため、両者間での情報共有や連携に課題があるものの、保護者を通しての情報共有と連携を基本とし、状況に応じて送迎時の際に情報共有のための場が設けられている。課題について、学校と事業所との間でお互いの活動内容や課題が共有されないなど、十分なコミュニケーションが図られていない状況があると分析している。
Q4.他自治体にといては、放課後等デイサービス事業所と学校の支援計画を比較し、交換する項目を決定する、学校教職員と事業所による合同研修会や情報交換会の開催、情報連携ツールを用いているところなど、様々な工夫がされているが、本市の今後の対応は?
A4.他都市における情報共有についての工夫の状況などを調査し、学校と放課後等デイサービス事業所双方の負担とならないような支援工場に向けた取り組みについて、校長会とも情報共有のうえ検討している必要があると考えている。
Q5.連携について、様々課題があることはわかった。国のガイドラインでは「県警部局・機関間の連携協力を円滑にするためのネットワークとして、特別支援連携協議会を設置することが必要」とある。本市のこどもたちの自立を生涯にわたって教育支援していくために、どのような連携・体制であれば役割を果たせるのか、十分検討する必要があると考えるが、見解は?
A5.学校と放課後等デイサービス事業等、関係機関との連携体制について、十分な情報共有が図れていない課題に対しては更なる連携強化が必要であることは認識している。今後については、関係機関と十分に協議しながら、連携の構築について検討する。
(4)就学先決定のプロセスについて
就学決定は誰が行うのかについては、さまざまな検討がされた結果、平成25年9月「学校教育法施行令の一部改正について」において、
就学基準に該当する障害のある子供は特別支援学校に原則就学するという従来の就学先決定の仕組みを改め、障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人・保護者の意見、教育学、医学心理学等専門的見地からの意見、学校や地域の状況等を踏まえた総合的な観点から就学先を決定する仕組みとすることが適当である。
その際、市町村教育委員会が、本人・保護者に対し十分情報提供をしつつ、本人・保護者の意見を最大限尊重し、本人・保護者と市町村教育委員会、学校等が教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則とし、最終的には市町村が決定することが適当である。保護者や市町村教育委員会は、それぞれの役割と責任をきちんと果たしていく必要がある。なお、就学先を決定する際には、「合理的配慮」についても合意形成を図ることが望ましい」と通知されました。
ここで大切なのは、保護者に就学に関する十分な情報提供が行われているおか、また、保護者の就学決定に対する主体性を引き出せているのか、本人・保護者の意向を最大限尊重し合意形成するため、また総合的に判断するために、十分な過程が踏まれているか。
Q1.就学支援委員会の審議結果と保護者の意向が異なる場合、最終的な判断は教育委員会がすることとされているが、保護者の意向が優先されるのか、プロセスも含めた判断状況は?
A1.保護者・教育委員会・学校の3者で協議を行い、保護者の合意を得たうえで、最終的な就学先を決定している。決定に際しては、保護者の意向を最大限尊重するが、学校長と保護者が入学するにあたっての合意事項を定めるケースがある。
Q2.現在は、5月初旬に教育委員会から幼児教育施設に対し、教育支援委員会で判定が必要な子について報告を案内し、保護者の同意を経た上で報告してもらっていると聞いているが、このプロセスでは、就学相談が幼児教育施設の判断に委ねられており、就学決定のプロセスやスケジュール等のガイダンスが保護者にされておらず、不十分だと考える。
また、ことばの教室に通う児童の保護者からも「ことばの教室の存在を知らなかった。知っていたらもっと早く通わせたかった」という話も聞いており、保護者に対して十分な情報提供がされていないのではと危惧している。本市の認識と今後の対応は?
A2.保護者への情報提供については、国から発出された文書で通知を図るほか、幼稚園、保育所、保護者、就学相談員による三者懇談において緊密な連携により情報提供、共有を行ってきたが、より保護者が主体性をもって就学決定に関わることができるよう、本市としても早期から児童本人、保護者に対して就学決定のプロセスやスケジュール等についてわかりやすくより理解が深められるよう、市独自での資料を新たに作成し周知の徹底を図るよう進める。
Q3.就学相談については、できる限り早期から行っていくことが重要であり、5歳児相談等健診と教育委員会との連携は、総合的な判断のためにも重要な役割を担うことが指摘されている。本市においては、年中さん健康相談の場のおいて、幼児ことばの教室の指導員も相談対応しているが、さらに就学後も見据えた相談対応や教育委員会との信頼醸成のためにも、就学相談も同時に開催すべきでは。
A3.現在教育委員会の就学相談員は2名であり、新たな相談時間確保は難しい。長期的な視点に立った相談体制の在り方については他都市の状況など引き続き調査、分析を行う。
Q4.相談確保の確保が難しいということだが、年4回の年中さん健康相談にも同席できない状況なのか。他自治体では、指導主事、特別支援教育コーディネーターや退職後の教員が対応しているケースもあると聞く。実施にむけて検討すべきでは?
A4.他自治体での事例も参考にしつつ、対応の可否については関係機関とも情報を共有しながら慎重に検討する。
Q5.特別支援学校を選択した場合、地域の学校との交流おようび共同学習が実施されているが、年に1~2回程度であり、これでは地域の一員であることを感じられないという話を聞いている。他自治体では、居住地域の小・中学校等に副次的な学籍を置く取り組みが行われている。国においても「居住地域との結びつきを強めるこの取り組みは、居住地校交流を推進する上で重要な意義がある」と認めている。
副次的な学籍は、現在の交流及び共同学習をより活発にさせ、子ども達の関係性を深め、共生社会の実現のために必要な取り組みだと考えるが、本市の見解は。
A5.既に取り入れている他地域の状況を十分に調査を行い把握した上で、今後の本市での取り組みに活かせるかどうかを慎重に判断する。
